ひねもすのたり@避難所
民主党のおかげで政治に興味を持ってしまった庶民のブログです。無断転載・無断リンク大歓迎。

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十二国記シリーズの短編集です。
「丕緒(ひしょ)の鳥」「落照の獄」「青条の蘭」「風信」の4作が収録されています。

■丕緒の鳥
慶国で陽子が新王として登極した直後の話ですが、主人公は陽子ではありません。
陽子は最後にチラッと出てきて、新しい時代を予兆させるのみです。

主人公は丕諸という下官です。
丕諸はいちおう国官で、いちおう所属は軍事を掌る夏官ですが。
祝い事や賓客があったときに行われる祭礼の際に、弓で的を射る「射儀」という儀式を掌る射鳥氏(せきちょうし)という官吏の、そのまた下位にある羅氏(らし)という、弓で射る的を用意する係です。
宴会部長の雑用が、専門職になった感じですかね。
なので国官だけど、政治とも軍事ともおよそ無関係です。

丕諸が官吏になったのは、悧王が即位して10年後くらいのことです。
新人官吏だった当時は、仕事にやりがいもあり、良い上司や部下に恵まれ、リア充だったようですが。
それから百数十年、国は乱れ続けました。

かつて仕事を教えてくれた上司、射鳥氏だった祖賢(そけん)は、悧王にあらぬ疑いをかけられ処刑されました。
丕諸のアイディアで的を作ってくれていた羅人(技術系の官吏)である蕭蘭(しょうらん)は、女性だったので、予王の女性追放令のときに悠長にかまえていたら、突然行方不明になり、それきりです。
そして丕諸は、羅氏の仕事を通じて、時の王たちに民の苦しみを訴えようとしたのですが、何も通じず。
丕諸は、すっかり仕事に対する熱意を失っていました。

そして今回、陽子が新王として即位する儀式の射儀の仕事を最後に、丕諸は退職しようと決めます。
かつて一緒に働いた、祖賢や蕭蘭たちが作りたかったものについて思索し、最後の仕事に取り掛かるのですが。
まあ、最後は、そうなるよなぁ~っていうw

陽子が王として登極し、新しい時代が始まるということをダメ押しするような短編でした。
慶国の百何十年間の流れがよく解る作品で、何というか、すごく、外伝ですw
儀式のもともとの意味について考えるところが面白かったな。
的である鵠は民の象徴であるのに、何故それを弓で射って破壊するのか?っていう。

■落照の獄
傾きかけた柳国の、秋官司刑(司法に携わる高官/裁判官みたいな)である瑛庚(えいこう)が主人公の話です。
死刑廃止の是非が大筋になっています。

死刑廃止ってwwwテラ左翼wwwwww
今までの巻では、柳国は法治国家のような感触でしたが、こんな左巻きだったとは。
そりゃ傾いて当たり前(´◉◞౪◟◉)

現在の柳国の劉王・助露峰は、死刑を廃止するように命じ、それ以来120年間、柳国では死刑が行われていませんでした。
ところが狩獺(しゅだつ)という、極悪非道の犯罪者が現れます。
一度は逮捕されたのですが、服役が終わると、まんまと再犯して(どこの在日だww)、また多くの人を他愛のない理由で殺害してしまったわけで。
更生の見込みがないことは明らかで、さらに言うと、最初に殺人犯として逮捕されたときに死刑にしておけば、死なずにすんだ人たちが大勢いるわけです。

この狩獺という極悪非道の犯罪者の事件をきっかけに、凶悪犯罪者は死刑にせよという世論が、柳国内では高まります。
柳国では犯罪者は逮捕されても、服役が終わったらまた社会に放流されるシステムなので、結局は凶悪犯罪者を野放しにするのと同じことだから、安心して暮らせないと。
終身刑にするにしても、なぜ凶悪犯罪者を生かしておくために税金が使われなければいけないのかと。

まあ、日本と同じ問題を柳国は抱えているわけですね。
日本は今、安倍政権が戻ってきて、法務大臣はガッキー(谷垣禎一)だから、死刑執行にゴーサイン出してくれてるんで良くなってるけどね。
民主党のときは、法務大臣が犯罪者のお仲間のチバーバ(千葉景子)だったから酷かったな…。
犯罪者とお友達だから、死刑執行しないんだもん(;^ω^)

閑話休題。
柳国の王は、別に民主党みたいに犯罪者とお友達ってわけではないようですが。
性善説の人らしく、犯罪者は必ず更生するという前提で法を設定したお花畑であったようです。

そして現在は、王は政治に興味を失ったらしく、官吏にすべて丸投げ。
王の息子だからって高官に任命されて、何やかやと職権乱用や越権行為で口出しする、国にとって有害な太子。
犯罪率の増加、妖魔の増加、世論の変化。
沈もうとしている柳国の内情を描いた短編で、これもすごく外伝のように思うのですが。
柳国が傾いている原因については、雁や奏も気にしていたはずなので、何かの伏線ですかね?
十二国の世界って、王が特に積極的に悪いことをしなくても、政治に興味を失っただけで妖魔が出てきたりしてしまうんですか?
官吏たちがちゃんと仕事してて、王も官吏たちの邪魔をしていなくても?

■青条の蘭
標仲(ひょうちゅう)という、地方の下級官吏の話です。
ものすごくスロー・テンポで、そこそこ読み進めてもどこの国なのか解らない状態で流れていきます。
すごく寒そうな国だから、戴か芳かな?と予想しながら読み進めていたのですが。
まさかの雁国だったww

雁の話だと解るのも、本当に最後の方で、「関弓」という地名が出たからです。
新王が登極したばかりのようで、新王は政治に関心がなさそうだとか、バカでダメっぽい(意訳)という噂が流れていたので、これは尚隆だなとwww
ということは、500年前の話ですか。

山師(イカサマ師のことではなく山林の調査員)の包荒とか、黄氏の猟木師・興慶とかも出て来るんですが、これは本編には全く関係なさそうな、本当に「外伝」です。

山毛欅(ぶな)を枯らす病気を発見するところから始まります。
そしてその山毛欅の病気を治す新種の植物を見つけて、それを「青条」と名付けるのですが。
青条はすぐ枯れてしまって、なかなか増えない。
山毛欅の林が枯れると、雪解けの時期に山が崩れるので、雪解けの時期までに何とか「青条」を増やして山毛欅の病気を治さなければならないのに、数がぜんぜん足りない。
王だけがお願いできる里木になら、新種の植物のお願いができるので、何とか王に頼むしかないけれど。
官吏たちは腐敗しきっているから、正規の手段でお願いしても上層部に届くのはいつになるか解らない。
辺境の下っ端官吏が、王に直接会えるわけでもなく。
そんな状況の中で奔走する、いちおう国官の端くれ標仲を描いています。

結末がハッキリとは書かれていなかったけれど、間に合ったんじゃないかな?
興慶が見た卵果がそうだよね?

■風信
慶国で女王・舒覚(予王)が、女性追放令を出した時期から始まる短編です。
予王の時代が終わり、偽王・舒栄の時代を経て、陽子が新王として登極する直前までの期間を、一人の少女の視点から描いています。

主人公の蓮花は、予王の布令のせいで、街を焼かれ家族は皆殺しにされました。
絶望的な逃亡の道中で、蓮花の幼馴染の親友・明珠は入水して世を去ります。
ほどなくして辿り着いた麦州に近い摂養の街角で弔旗を見て、蓮花は予王が死んだことを知ります。
こんなに簡単に斃れる王だったのなら、死んだ人たちは一体何のために死んだのかと、蓮花は嘆きました。
すでに故郷である街を焼かれ、家族も親友も失った蓮花は、帰る場所もなく、帰る気も起らず、そのまま摂養の街で暮らすことにします。

蓮花は摂養の街で、暦を作る保章氏(ほしょうし)という役職の官吏が働く館に雇ってもらいます。
保章氏とは群春官の下っ端のようですが、群城にはおらず、街外れの廃れた園林に住んでいて、蓮花はそこで炊事などの仕事をすることになります。

保章氏は嘉慶(かけい)という五十代半ばの人物で、保章氏の下に候風(こうふう)、候気(こうき)、賞暦(しょうれき)という役職の官吏がいて、彼らも同じくその館に住んで暦を作る仕事をしています。
が、一見、彼らはものすごく変人です。
ただのオタクっていうかwwww

候気の清白(せいはく)は、いつも部屋にいて、玻璃(ガラス)の板を通して空を見ていています。
候風の支僑(しきょう)は、いつも外出しますが、近所を回って蝉の抜け殻を集めて数えたり、赤鼠が巣穴に溜めている団栗を数えたりしています。
賞暦の酔臥(すいが)は、書斎にこもりきりで、山のような書籍と書き付けに埋もれています。
彼らの上司である保章氏の嘉慶も、彼らと大差なく、賞暦の酔臥と同じく書斎にこもりきりです。
みんな自宅警備員みたいなwwwwww

蓮花の目には、仕事に没頭する彼らが、外界に目を向けず自分の世界に引きこもっていように見えます。
そして偽王・舒栄が新王として立ったとき、建州はこの新王を支持せず、建州にあった摂養の街は、王の命を受けた空行師たちに襲撃されます。
街が焼かれて死人が出ても、相変わらず引きこもっていてマイペースな彼らに、蓮花は怒りを覚えるのですが…。
まあ、最後は、そうなるよねw
慶国だしwwww

これも本当に「外伝」です。
「丕諸の鳥」と同じく、陽子の登極で新しい時代が始まる予兆が、オチになっている短編でした。
しかし新しい希望的な予兆がラストに来るのは良いんだけど、十二国では何をするにしても王が重要で、民の一人一人は無力で、王に運命を翻弄されるしかないみたいな感じなのが、何とも…。

前巻の「華胥の幽夢」も短編集でしたが、およそ12年後に発行された今回の短編集は雰囲気が変わっています。
「華胥の幽夢」は、本編の間の間奏曲のような雰囲気で、次の長編に続くような雰囲気がありましたが。
今回の「丕諸の鳥」は、本当に本編から外れた「外伝」という印象です。

長編の続きはもう出ないのかと、不安にならざるを得ません。
この「丕諸の鳥」が発行された翌年、新潮社公式のツイッターで、「新作の原稿は1000枚を超えている」というツイートがありましたが。
https://twitter.com/12koku_shincho/status/548050774534520832


以来、新作についての音沙汰が途絶えました。
どうなってるんでしょうね?
原稿1000枚あれば文庫1~2冊分はあるでしょうから、出来上がった1000枚だけでも本にして欲しいものです。
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